根っからの明るい性格で地域を盛り上げる
真鶴港近くの「宿浜通り商店街」で酒屋「草柳商店」を営んでいる草柳重成です。
稼業を継がないつもりで東京に出てギターの音楽活動をしており、ヤマハのポピュラーコンテスト
「つま恋コンテスト」に2年連続出場して自作の曲がポプコンの銀賞を受賞し、その気になっていました。25才の時、父親の
他界で状況は一変、妹は大学生、弟は高校生、自分が稼業を継ぐしかないと。
その頃の真鶴はお魚料理や自然散策を目当てに観光客が大勢訪れ賑わっていました。出戻りで酒屋仕事がまだま
だの私でも母親や地元の方々に助けられ30年稼業を守ることがきました。
酒屋を継ぎながら真鶴でも地域活動の一つとして音楽活動が出来ないかなどと考えていました。
真鶴半島は古くは小田原藩が植林した御林、天皇陛下の御用林、魚つき保安林があります。降った雨が地下水脈と
なって真鶴の海を育んでいます。この自然のサイクルを次の世代に繋げる為のチャリティーイベントをやろうと思
いつきました。コンサートを企画し、呼びかけることとなり真鶴で大好きな音楽活動を始めることが出来ました。
今では酒屋をやりながらも商工会の青年部や真鶴の消防団に入って先輩や後輩に良くしてもらい、真鶴を盛り上
げる為に地元のみんなと協力して楽しんでいます。
稼業をついで良かったなと思っています。
酒屋をはじめて
酒屋を継いだ頃は・・・
地酒ブームでどこの酒屋でも新潟、山形、福島から取り寄せて商売をしていて、私もお客様に地酒のうんちくを
説明したところ、あるお客様から「おまえいくつになった」と聞かれ、25才と答えた所「馬鹿野郎、酒が飲める
ようになって5年しかたってないやつに薦められた酒なんか飲めるか」と言われ、とても悔しい思いをしました。
.酒師の資格があるのを知り、猛勉強して1996年30才の時に資格を取得することができました。
その頃はブランド酒の「越乃寒梅」「八海山」「久保田」などなかなか取り寄せできないものもありました。
蔵元巡りで訪れた新潟県村上で凄いパワーを感じた
勉強の為訪れた村上の蔵元で「〆張り鶴」「大洋盛」を製造していました。鮭料理で有名な料亭を案内してもらい「鮭 びたし」や鮭を一匹まるまる余すところなく使う料理を頂きました。料亭の女将さんが「大洋盛」が一番だと勧め てくれました。旅館に戻ったらここでも「大洋盛」が一番美味しいですと勧められ、地域全体が一体となり蔵元さん・ 酒屋さん・飲食店さん・旅館さん、皆さん新潟村上のお酒が一番だと言うお話に凄いパワーを感じました。
真鶴でも地域一丸となって
新潟村上のように地元真鶴でも一丸となって何か出来ないのかなと考え、まずは神奈川県の蔵元を尋ね歩き、川
西屋酒造さんの「丹沢山」に出会いました。このお酒を味わった時に「これは新潟に負けない酒造りをしている」「パ
ワーを持っている」と感じました。『槽搾り』という昔からの醸造方法で絞った手作りのお酒は、丹沢の伏流水を使い、
お米は足柄平野でとれた酒造好適米若水。これはすごいぞ!これはいける、これなら相模湾や真鶴でとれた地魚の
料理と合わせて、真鶴でも地域一丸となって売れるのではと地元で働きかけてみました。旅館のご主人や青年部仲
間達から神奈川の地酒もこんなに美味しいんだと言ってもらえ、少しずつ販売を増やすことが出来ました。
酒屋を継いだタイミングで「丹沢山」と取引が出来て30年近くお付き合いさせて頂いています。
今では「丹沢山」や「曾我の誉」もそうですが、瀬戸酒造さん(開成町)の地酒など、神奈川の酒蔵のお酒を皆
さんに紹介できるようになりました。そしてそれが僕の勤めだと思っています。
草柳商店はどんなお店
母と嫁さんと3人で切り盛りしています。いまだに母は看板娘で、元気でいてくれることが一番幸せなことだと 感じています。 お店の特徴は地域の人達が集まってコミュニティの場となっています。漁師さん、干物屋さん、飲食店店主さん、 皆さん仕事終わりにここで一杯やって世間話をして楽しく過ごされています。最近では観光客や移住者も増えてき て、地元の人達と一緒になって溶け込めるようなお店になってきていると実感しています。
昔から商店はそういう場であっただろうと思います。酒屋だけでなく、八百屋でも買い物客が少し座ってお店の 人と話をしていく、そういう井炉端会議を見かけることがなくなりました。大学の研究者がコワーキングスペース について取材していた時に、空き店舗でそういう場を作ることやどうやったら再現できるのかを研究されていると の事でした。
うちの店は酒を介してコミュニケーションを図ることを大事にしている。酒があって、腹を割って話せる場所。
大事なのは「G&N」=「義理と人情」、原点に立ち返るみたいな。商店街も義理や人情で成り立っているのではな
いかと最近つくづく感じる様になりました。
店の雰囲気は、昭和レトロな感じです。来店されるお客様が昭和のなつかしさを感じると言ってくださる。
どうこうしたわけではないのですが、気が付いたらこうなっていました。
商店街の活動について
5月8日から新型コロナウイルスも5類になり、マスクも取れたら一升瓶持って商店街のお店を散歩する「しげ
ちゃんとつまみ食い散歩」を再開したいと考えています。
このイベントはネットやチラシで募集し、酒屋の前に集合してもらい地酒のカップ酒を持って飲みながら、商店
街の干物屋さん、寿司屋さん、飲食店さん、旅館さん等から美味しいおつまみを頂きぞろぞろと食べ歩く。過去
30回くらいは実施しています。意外と女性の参加者が多く、男性よりお酒が強かったりします。是非再開させた
いと思います。
コロナ前はイベントも色々やりました。アフターコロナの新しいルール枠組みの中で、出来る限りのことをやっ ていきたいです。簡単に店の倉庫や軒先、駐車場でも集まって出来るような小規模イベントも考えてます。
また、以前のように豊漁豊作展ではDJ をやったり、フォークシンガーの人達を呼んでライブをやったり、
ハワイアンのフラダンスライブなども復活出来ればと思います。
みんなで盛り上がれるお酒と音楽が最高です。国際平和ですね。どうせやるなら大きく盛大にやりたいですね。
これからやっていきたいこと
やりたい事は沢山あるが
1つ目は、草柳商店レコードを作りまして、真鶴町の歌の上手い人達からデビューさせたいと考えています。私
のバンドは既にストリーミングサービスによって、Amazon ミュージック、apple ミュージック、Spotify などで
聞けるようになっています。直ぐレコーディングして、そこから世界デビューが出来る、この商店街から歌姫ディー
バを出したいと夢を持っています。ミーシャみたいな歌姫を真鶴町から出せたら凄い。
2つ目は、継続は力なりでファンも多く商店街ツアー重ちゃんつまみ食い散歩を続けたいと思います。
3つ目は、昨年ご紹介頂いた茅ヶ崎さくらみちブラボーズの皆さんとの交流です。うちの商店街は昭和の頃から
の古い商店街ですが、名ばかりの時代もありました。地方創生が話題になった時にスポットライトを当ててもらい、
商店街の後継ぎも増え、新しく移住して店を始める方などみんなで集まって話が出来るようになりました。そんな
時に若い商店街の茅ヶ崎さくらみちブラボーズとの交流会をさせて頂きました。その時の若さと勢い、夢と希望か
らは勇気をもらいました。その後、茅ヶ崎さくらみちブラボーズのイベントに参加させてもらい絆が深まりました。
今後も兄弟商店街として一緒にかながわの商店街を盛り上げていきたいです。
真鶴で起業される方へのメッセージ
「商店街って、勢いがあって、やっていこうぜという人が3人いれば商店街ができるぞ!そういう気がします。
そこを目掛けて出店しようとする人達が集まってくる。今は家賃が下がって若い人が出店しやすいチャンスだと思
う。若い人が絶対成功してやるという意思あれば、先輩の商店主さんの経験と知恵借りて前に進める環境が真鶴に
はある。」
ますます個人事業主は厳しい時代がくるのかと思いますが、それでも地域の皆さんに必要とされるお店になれば
夢は叶うと思います。義理と人情、地域密着の姿勢で皆さん頑張りましょう。一緒にやって行きましょう。
基本は「G&N」=「義理と人情」ですね。すべてはそれに尽きる思います。